5.大差なんかない!微妙な差で決まる

有名な建築家(ミース・ファン・デル・ローエ)の言葉があります。「神は細部に宿る」と。 デザインしかり、経営しかり、ちょっとの差がいずれ大きな差になることのお話をします。 とうとつですが、私がおそば屋さんの店長になったとします。 で、「全日本おそば屋さんランキング」というのが仮にあったとして、現在全国28,000件中、中の下の20,000位くらいだとします。 そこで一念発起して売上を伸ばす決意をしました。 無愛想だった接客をホッペの筋肉トレだと思い、笑顔を心がけました。 いきなり1,000位くらいごぼう抜きです。 汚れたガラスをこまめに拭くようにしました。 また400位くらいごぼう抜きです。 そばを引き締める水を氷を使って冷たくしました。 さらに500位くらいジャンプアップです! どんどんランキングが上がっていきます。 今度は食べ歩いて繁盛しているお店のいいところをマネする、そしてちょっと超える。 参考にする、ちょっと超える…。 劇的な差なんてあるようでないと思います。 実際は微妙な差の積み重ねが大差に見えるだけ。 そしていよいよ、町で1番の人気店に近づいていった時に、2店舗目、3店舗目が視野に入ってきます。 そして店長として結果を出せる自信がついた時にはきっと【微妙な差】の大切さに気づいているはずです。 そんなときにもし、のぼり旗を選ぶなら少なくともありきたりな、のぼり旗は選ばないですよね。“ちょっとイイ”のぼり旗をきっと選ぶはずです(宣伝)。 ともあれ、おそば屋さんとして名が知れて財務的にも体力がついて来た頃に誘惑に負けず(笑)さらに進化するならメディアの露出であったり、口コミのみでお客さんが、行列になって集まるかもしれません。 フランチャイズ化やチェーン展開の話も来るかもしれません。 そのきっかけが、今すぐにできる、ほんのちょっとの改善にあるとしたら…。 結論=お客さまはちょっとした差で評価する。 参考文献『微差力』齊藤一人(2011)

4.そもそも、お客さまは何にも見ていない。

デザイナーが陥りがちなミスのひとつに細部だけに目がいってしまいトンチンカンな自己満足なモノを制作してしまうことがあげられます。 かっこいいものを作りたいのが性分なので仕方のない部分もありますがそもそも「何のため」に作るのかを明確にしておかないとこういうことが起こります。 またデザイナーだけでなく発注する側もアピールポイントを真剣に考えすぎるあまり、全く効果がでないものを要求してしまうことがあります。 そもそも、道行くひとは「何にも見ちゃいない」し「見ようとしていない」んです。 あなただってそうですよね。街を歩いているときに「ああ、こののぼり旗はこんな文字が書かれていて…。えっ”激ウマ”なんだぁ。ふむふむ」なんてやらないですよね。そもそも記憶にすら残っていないのではないでしょうか。 仮に記憶に残っていても「入りたいなぁ」と思ったでしょうか。 それなのに「せっかくだから、これもあれも盛り込もう!」とバラバラなデザインの、のぼり旗を複数本立てたり「激安!」「日本一!うまい」とか明確な根拠のない自賛をしてしまうのです。 上記の「アピールポイントが多すぎる」ことと「根拠の乏しい自画自賛」はのぼり旗に関するインターネットでのアンケートによるとなんと【入る気がしないお店の特徴】の上位にランクされる項目なのです。悲惨です。よかれと思ってやっていることなのに…。 ではどうすればいいのか。それはあふれる情報の洪水の中で、印象を残したいのなら、的を絞ったメッセージを繰り返し、わかりやすく伝える必要があるのです。 何回も同じメッセージを発信することでやっと「そんなに言うのならよほど自信があるのだろう」と解釈して行動してくれるのです。 具体的にいうと同じデザインの、のぼり旗を連続して掲げるのです。 特定の商品やサービスだけをアピールするのはもったいないとお思いでしょうが、ぜひテストしてみてください。その方が、アピールした商品だけでなく【総売上】が上がるというデータがあるのです。 目的はお客さまが、のぼり旗の最大の費用対効果をあげることです。ぜひ半年後に、より利益が残るやり方を見つけて欲しいと思っています。 ただし【ありきたり】のデザインだけはダメですよ。脳は無意識のうちに【ありきたり】=【ありきたりのサービス】と判断します。確かめてもいないのに…。さらに【ありきたり】なモノを脳は自動的に無視をするようにも出来ています。

3.反応をテスト、テスト、テスト

人間というのは基本的に「自分の考えがいつも正しい」と考えているんだと思います。サッカー中継を見ていても「これじゃあ、ダメだよ。自分が監督だったらこうするのになぁ」など…。 多くの人(特に男性)が、そういう類いの議論がけっこう好きです。結果論なら誰でも言えるんですけどね。 経済学者の株価の推移予想もとてもあたっているとは言えないのと同じでこと広告に関してもプロのデザイナーもコピーライターも業界の常識をわきまえてる人ほどダメです。かなり成果出せていません。 それはなぜか。根拠がない業界内の常識にしばられたモノ作りをしがちだからです。 ハッキリ言うと「勘」だとか「センス」を過信しているからなんです。 先ほど、結果論なら誰でも言えると言いました。 そうなんです。結果論は常に正しいんです。 広告に関しても大きなお金が動く際は必ずと言っていいほどリサーチをします。 つまり自分たちで考えるよりも実際にテストをするんです。 私たちも【テスト】【テスト】【テスト】だと思っています。 そのテストを繰り返した経験に基づく直感は結構スゴいです。 実際にお客さまに意見を伺うことほど確実なことはありません。 その意見をもとに改善を積み重ねたお店、組織は本当に強いです。 商売を繁盛させるためにまずはカンタンなアンケートから挑戦してみてはいかがでしょうか。

2.デザイナーを使うことが初めての方に

グラフィックデザイナーと仕事をしたことがある人はそんなに多くないかもしれません。 その理由のひとつに独自の先入観念があるからかもしれません。 例えば「訳のわからないカタカナ英語ばかり使う」とか あなたの意図を汲まず「趣味の世界をばかりを押し付ける」とか…。 「そもそもちゃんとしたデザイン事務所は値段が折り合わないだろう」とか。 けっこう当たってます(笑) ただ、それは2流のデザイナーに多いんですね。(失礼ないい方ですが) そしてその逆で、なんでも言いなりになりすぎる、 また制作能力が乏しい3流のデザイナーもこの業界には多いのです。 それからお金の問題とのぼり旗だけの受注は極めて高い壁だと言えます。 のぼり旗に限らず、どんな仕事でも共通しているのですが 経験を積んでくると打ち合わせの段階ですでに「これはいい仕事が出来そうだ」 ということが勘でわかってきます。 ともあれ私が仕事上で最高の成果を出せた(自己評価ですが)ときに 以下のような共通点がありました。 1.目的がハッキリしている人 ──これを売りたい、こういう風に思われたいが明確。 2.誰に訴えたいかビジョンがハッキリしている人 ──20〜30代のOLに伝えたいなど対象が明確、具体的。 3.情報を惜しみなく提供出来る人 ──掲示場所が国道沿いか街中か。 店の外観写真やホームページのURLを送るなど。 4.こだわりが強すぎない人 ──細部にわたり自分の手足としてデザイナーを使ってしまう人は不向きです。 これは結果、素人が制作したものと同じになっていくのでデザインのレベルが上がらないです。(辛辣ですが事実です) 最初から人を使わない方がお互いに幸せです。 5.決裁権を持っている人、もしくは直通な人 ──これはかなり重要な項目です。大きな会社ほど“伝言ゲーム”によって表現がブレてしまいます。 ただし、たとえビジョンが明確でなくても親切なデザイナーならお客さまが意識してない 方向性をも具体的に抽き出していくので心配する必要はありません。 とにかくテストしてみようという感じで、ちょっとだけ情報を与えて気軽に任せた方が 評判がいいものになることが多いです。 それからオーダーはしないで既製品のデザインから選ぶ方がテストとしては適当だと思います。 何よりお客さまにとって割安ですから。 デザイナーの仕事歴一覧はこちら

1.まえがき

代表取締役の井口正文です。(長文失礼します) みなさまに自己紹介もかねて“まえがき”を書いていこうと思います。 グラフィックデザイナーを志して新潟から 上京したのは1988年のことでした。 右も左も地下鉄の乗り換えもわからないまま過酷な浪人生活を経て 多摩美術大学のグラフィックデザイン科に通うことになりました。 もともとは「かっこいいデザインをして、いい男になりたい」 みたいな漠然とした上昇志向と、価値ある仕事をしたいという 「志(こころざし)」みたいなものが渾然一体となって 興味のあることに首を突っ込んできました。 大学を卒業して運良く、雑誌や書籍のデザインでは かなり名の通った会社に高倍率を運だけで勝ち抜き、 拾ってもらいました。 (君は学科も実技もボロボロだったんだよと後日、社長に 言われた時は本当に自分は、運だけだなと思いました) そこでマガジンハウス、日経BP社、電通総研、旧建設省などなど 硬軟織り交ぜた仕事を担当することができ、 とてもいい経験となりました。 そして入社から5年後に勢いで独立することになります。 当時30才ーー。 前の会社からお仕事をいただきつつも、 紹介でも仕事に恵まれ、生意気ざかりの30才が 日本最大級の発行部数を誇るクライアントに ほとんど捨て身でデザイン改革を提案していきました。 (今は丸くなりました。体型も) ふり返ると汗顔の至りそのものですね。 今でも仕事先の方々や読者のみなさまに感謝の念は尽きません。 人に恵まれ、仕事にも恵まれ独立から 売上も平均30%成長を13年期連続で達成しました。 正直なところ経済的には恵まれていた方だと思います。 しかし2年前に意図的に赤字に転落させ(2013.9月現在) 必要な準備の後にのぼり旗の事業に大きく舵を切ったのです。 のぼり旗の事業者は星の数ほどあるでしょうが デザインに特化した事業者は、 まだほとんど見当たらないと思います。 今まではほとんど大手企業さまや 大手出版社さまに対して仕事をしてきました。 基本的に新たな大手企業さまの仕事はお受けしておりません。 今では、ほとんどのお客さまが小規模の事業者さまとなっています。 否、あえてそうしたのです。 通常は逆なんだとは思います。 しかし20年ほど続いたデフレを脱却しつつある今は ビジネスの仕組みをはじめ価値観すらも大きな転換点を迎えています。 小さなことが必ずしもリスクではなく 成長への可能性を含んだワクワクする仕事だと思っています。 試しにプロに任せてみようかという器の大きな方と 仕事をするのが楽しみです。 いままでもそうでしたが クライアントが栄える様子を知ること、 感謝されることが最大の喜びです。 あなたに具体的な利益を出すための仕事をしたいと思います。 商売繁盛のパートナーとして たかが “のぼり” されど “のぼり” との気概を持って 進んでいきたいと思います。 そして事業転換のもうひとつの理由 “雇用創出”に関しては何年か後に詳述できる時を 待ちたいと思います。

商売繁盛コラムのもくじ(掲載予定タイトル)

1.まえがき(13期連続 平均30%成長なのになぜ事業転換をしたのか) 2.デザイナーを使うことが初めての方に 3.反応をテスト、テスト、テスト 4.実はお客さまは何にも見ていない。 5.大差なんかない!微妙な差で決まる 6.現代は評判がアッという間に広まる時代 7.ありきたりがすべてにおいて最大のムダ 8.のぼり旗の集客はただの時間稼ぎ 9.単なるシンボルに反応してしまう(影響力の武器P372) 10.頻度×強度×継続度=脳科学のセオリー 11.効果が最高に高いのは手書き文字かも 【番外編】不当表示で今日も利益をあげる人々へ 12.実は無地ののぼり旗でも注意をひける 13.なぜ白地が目立つのか。 14.「目立つこと」と「入りたくなる」は別の問題 15.「集客できたからOK」ではない。 16.もしかして支払おうとする金額は入店前に決まってる? 17.トクするお金の使い方【消費・浪費・投資】 18.スリムショートサイズを勧めるわけ 19.最後のツメが大切。(均等配置、角度、高さそろえる) 20.ブランドを作るのは誰だってできる 21.ブランドをつくるデザインのチカラ 22.あなたのお店をどう思われたいのですか? 23.オレイケメン、外車もってます、年収1000万!では嫌われる。 24.0.5秒で決まる。恐るべき無意識の壁を突破せよ 25.成果が出るまではイメージよりも時間がかかる 26.ハシゴを掛ける場所を間違えたら悲惨

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