私たちが『クリーン対策実施店のぼり旗1,000枚無料キャンペーン』を行ったわけ

2020年04月21日

実は今回のキャンペーンは社内でさまざまな意見を戦わせ、あらゆる問題を想定し工夫を凝らした上でなお若干の矛盾があることは否めません。

しかし最終的に代表である私の責任において行うことを決定いたしました。

そもそも緊急事態宣言が出ているのだから『禁止されてなくても飲食店に行くこと自体良くない』という意見もありますし、『のぼり旗を配った店に何かあったときに責任をとれるのか』と言われることも覚悟していました。

ただ、私たちの顧客の約8割が飲食店経営者であり、いわゆる『補償』がないままでは大規模な倒産ラッシュが起きることもまた火を見るよりも明らかなのです。

もちろん一般消費者からすれば、飲食店が潰れても特に気にしないという方もいらっしゃいますし、飲食店経営者からすれば「ここ1、2ヶ月で倒産を覚悟しなくてはならない」という瀬戸際の方も多くいらっしゃるわけです。

つまりそれは借金を抱えつつ収入が途絶えるという悲劇的な状況を意味します。

今年の秋ごろには『倒産』『失業率』がかなり増えるでしょう。またそれにともない『自殺者』の増加も起きると思います。そしてすでに『DV(配偶者からの暴力)』も急増しています。

さらには『失業率』と『犯罪率』が比例することも忘れてはなりません。【新型コロナウイルス】による直接的な健康被害だけでなく、経済の破綻から人命が脅かされることも視野に入れざるを得ません。

飲食店を守ることはあらゆる事業を守ることにつながる

総務省「経済センサス・基礎調査」(平成28年)には、今回大打撃を受けている『宿泊業・飲食サービス業』は企業数全体の13.3%を占めると記されています。

さらにその関連業者を含めればより多くの人々に関係する問題なのです。

例えば4月にスターバックスを始めとするカフェチェーンの休業が相次いだことによるミルク需要の急減が起きています。

実は乳牛というのは毎日、乳を絞らなくてはなりません。そしてそのミルクは日々捨てられ続けているのです。

人間が生きていくために『食』や『コミュニケーション』というのは欠かせないものであり、その重要な役割を主に担ってきたのが『飲食店』だと思います。

仮に新型コロナウイルスの問題が収まり、東京オリンピック・パラリンピックが行われたとしても、果たして『宿泊施設や飲食店のない殺伐とした街』で海外のゲスト達に心から楽しんでもらうことなどできるのでしょうか。

やはり、今は経営がギリギリであったとしても何とかして生き延びてほしいですし応援したい気持ちでいっぱいです。

特にこの国では1度失敗した経営者が再起することが難しいという現実もあります。そしてこの【新型コロナウイルスの問題】は「とても1年程度では収まらない」との見通しも多くなされており【衛生管理レベルの向上】は今後もずっと求められることだと考えます。

先日、私とともに朝日新聞(2020年4月20日付)の取材を受けたカフェの店主が「正直、飲食店の衛生管理にはバラツキがある」と話していたように、まだまだ改善の余地があるようにも感じます。

飲食店のみなさまのコミットメントを信頼する

このキャンペーンは衛生管理の努力が、なかなか伝わらないお店の『集客』だけでなく、顧客に対し『クリーン対策を実施している旨』のコミットメント(公的な約束)をすることにより『衛生管理の実行レベル、意識レベルをさらに引き上げてもらう』という意図もあります。

今回お配りする【クリーン対策実施店グッズ】の中には、各種チェックリスト付きのポスターが含まれており、ご自身が手書きでチェックを入れる仕様になっています。「手洗いをしています」「定期的に消毒をしています」等々、5項目に渡る、コミットメント(公的な約束)により、その実行度は上がると考えています。

通常であれば、審査を行った上でお配りすべきものかもしれませんが、スピードの問題とともに『審査』をどんなに厳密にしたところでその抜け穴をかい潜ってくる人はいるものですし、事実、同内容ののぼり旗やポスターは同業他社から販売されておりカンタンに手に入ります。であるならば、この緊急事態においては形式を捨て、地域に根ざして商売をされているお店自体のプライドを信じたいと思いました。

またロバート・チャルディー二博士の著書【影響力の武器】の『コミットメントと一貫性』の章にあるように、ほとんどの人は「自分の言葉、態度、行為を一貫したものにしたい」また「そう見られたい」という気持ちがあるものです。

さらには書き記す形のコミットメントは非常に強力だとの記述もあります。そもそも飲食店は地域からの信頼なしに経営することはできないと思っています。

もちろん、そもそも今回のキャンペーンを『やらなければ何も言われることもない』わけですが、結論として、今までお取引いただいたお一人おひとりのお顔を思い浮かべ「きっとこの『クリーン対策実施店のグッズ』を掲げたお店のほとんどが、その内容に沿った実践をしてくれる」と信頼することにしたのです。

当然、私たちができる支援などとても小さなことですし、実際、大した役に立っていないのかもしれません。しかし今やるべきことは誰かを批判することよりも自分たちのできる範囲でともに手を取り合い、この難局を乗り越えることだと考えています。

うちのスタッフもみなソーシャルディスタンスに注意しながら休日返上で必死にがんばってくれています。

一般的に個人も組織もとかく『何か言われるくらいならやらない』という最も価値を生まない選択をしがちなのですが、私たちは「今こそ多少の問題や矛盾があったとしても社会全体としてメリットがあるのなら、少しでも助かる人がいるのなら、思い切って行動しよう」と決めたわけです。

今回の【クリーン対策実施店のぼり旗1,000枚無料キャンペーン】が各店の衛生管理レベルの向上のみならず、苦境にある飲食店のみなさんの心に、挑戦の炎を灯すきっかけとなってほしいと願っています。

デザインのぼりショップ®︎ 運営:株式会社トランプス
代表取締役 井口正文

本キャンペーンはコチラから→ https://www.design-nobori.com/products/detail/36572