26.ハシゴをかける場所を間違えたら悲惨

2018年05月11日

誰しもがみんな一生懸命に商売をしています。それぞれに努力もしているでしょう。しかしもしその努力のやり方が間違っていたとしたら…。その努力を積み重ねた先のビジョンを描いてから行動している人は、まれです。

何年もかけて一生懸命に商売に取り組んで来たつもりなのに、『お客さんに好かれない』『むしろ嫌われる』『リピートしてもらえない』それどころか「あそこ微妙だよ」とか「イマイチだったな」など余計な悪宣伝までされてしまうリスクがあるのです。今やってる努力が正しいかどうかを気が付かないというのは本当に悲惨な結果を招きます。まさに、適当な場所にハシゴをかけて汗をかきかき一生懸命に登った場所が思っていた場所と違っていたようなものです。人生は時間との戦いです。もしかしたら一旦ハシゴから降りてイチからやり直す時間はもう残されていないのかもしれません。

脳科学者の茂木健一郎さんの著書『脳リミットのはずし方』の中に辛辣な一節がありました。『客観的な自己評価「メタ認知」能力が低い人の特徴は「自分の能力を冷静に判断できない」(中略)言いかえれば、自分の意見や考えていることは常に正しく、自分には間違いはないと疑わない、自己中心的な考え方の持ち主です』とその上でどうすれば同じ失敗を繰り返さないように自分をコントロールすればいいのか。という問いに対して自分の考え方や行動に対する「良質なトライ&エラー」を繰り返すことです。との助言をしています。また、飲食店で東証一部に上場したDDホールディングスの松村社長の講演で『成功したいなら百軒のぞきだ!』とのメッセージも忘れられません。良い店もそうではない店からも学ぶ中で自分の店の成功確率が飛躍的に上がるという意味です。

そこで私たちは、あなたのお店の長期的安定成長を願うが故にさまざまなお店を地道に取材し続けてまいりました。今回で一旦、商売繁盛コラムは終了しますが、今後もあなたのお役に立つためにいろんなお店への取材を続けていきたいと考えています。大手チェーン店も必死です。彼らは戦略的な試行錯誤の連続で時間とともにノウハウが蓄積されていきます。またスケールメリットがあるが故に仕入れも信じられないような格安で行えています。そういったノウハウとメリットを持った『巨人』と戦っていくのに小さなお店は丸腰で立ち向かうわけにはいかないのだと思っています。

今こそ発想の転換が必要なように思います。海外からのお客さんにももっと違う視点で進化する必要もあるのかもしれません。しかしながらあなたはもともと『おもてなしの精神』が根付いている日本で商売を営んでいます。さらにこのコラムを読んで頂いている意識の高いあなたは、もうすでに計り知れない能力を持っているのです。どうかともどもに私たちの仕事によってたくさんの人々に笑顔を与えながらこれからの時代を勝ち抜いていきましょう。

商売繁盛コラム 第一部(完)

デザインのぼりショップ 運営

株式会社トランプス 代表取締役 

井口正文