【その2】ライフサイクルコストとイニシャルコストとランニングコストの話。

2014年05月30日

【その1】でご紹介したアオバさんの例では、顧客ひとりに焦点を当てて図式化しましたが、今度はEC事業全体に視野を広げて考えて見たいと思います。

前回のイントロダクションで話しましたように、この話の主軸は個人がスマホアプリなどの簡単な通販システムを使って、少ない商品点数で事業の成長ストーリーを考えるというものです。

さて実際にあなたが個人的な通販アプリの出品者になってお小遣いを稼ごうとしたら、まず自分が出品している商品を多くの人に知ってもらうために、プロモーションをする必要があります。たとえばGoogleのリスティング広告を使ったり、自分のツイッターやフェイスブックなどのSNS上で拡散したり、登録しているECアプリのホーム画面で紹介してもらったりして、多くの人の目に触れてもらうことで購入へ一歩近づいてもらいましょう。こうしたプロモーション活動は毎月どれだけの費用がかかり、どれほど多くのお客さんを新しく増やしていけるか、実際の運用をしながらスモールテストを重ねて精度を上げ効果を出していくことになります。

仮にプロモーションを行うことで毎月コンスタントに30人のお客さんがあなたの商品を購入してくれたとしましょう。その後半年ごとに、前回購入したお客さんの30%がリピーターとして購入を続けてくれたとすると、最初の一ヶ月の間に獲得したお客さんたちのグループのライフサイクルコストは下の図のようになります。

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これを見ると、一ヶ月だけプロモーションをして得たお客さんたちは、時間の経過とともにやがていなくなってしまうので、今度はしばらくのあいだ毎月かかさずプロモーションを行い続けてみた場合の図を考えました。先の図が重なりあい下の図になります。

140530_lcc2

この図では、通販への出品を開始したはじめの時期を第1ステージと名付けています。この時期は新規顧客からの注文だけで売上が構成されており、高い宣伝コストとそれに見合わない多忙な労働が続きます。その後、新規の獲得と既存顧客からのリピーターが重なってくれば、第2ステージとなり売上がさらに底上げされます。ここでも新規開拓のためのプロモーションは絶えず行う必要があり、もうしばらく忙しい時期が続きます。この第2ステージに持続性を感じ始めたら、新規開拓のためのプロモーションをややゆるやかな活動にシフトしても、顧客の多くはすでにあなたの通販サービスのファンになっており、口コミなどで比較的安定した収益が得られるようになっているでしょう。そうなると第3ステージに突入したと捉えてよいでしょう。新規顧客を集めるためのプロモーションに費用をかけなくても、リピーターの波が強いロープのように絡みあい安定した売上を出すことができるようになります。しかしそれでもまだリピーターは先細りしていくのが見えているので、プロモーション活動と通販サービスはあなたの友人や知り合いで暇な人をアルバイトとして雇い、その人に業務を任して売上を持続させ、あなた自身はさらに新しいサービスや戦略を考えないといけません。

次回は各ステージごとにどんな施策を行うべきか考察します。

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